女性のサプリ摂取ピークは50代、健康ニーズ高いのに60代以上はなぜ摂取率低い?(2/3)

60代以上のサプリ摂取率が低い理由

サプリ(健康食品)摂取率は男女差が見られ、さらに女性だけで見ると摂取率のピークは中年齢層(40〜50代)で、60代以降で徐々に低下していく。シニアの方が健康ニーズは高いはずなのに、それに逆行しているのはなぜだろう?各調査結果のサプリに対するネガティブ面に着目すると、その理由が見えてくる。サプリに対する見方は60代以上で厳しくなるようだ。60代以上の摂取率が低い主な理由は3つ。

理由1:健康食品への期待薄

「健康食品にどのようなイメージを持っているか?」について、男女別・年代別に東京都が調査を実施している東京都福祉保健局「都民を対象とした『健康食品』の摂取に係る調査結果報告書,2016。男女計の考察になるが、この結果を見ると、シニア層は健康食品に対して厳しい目を向けていることがわかる。「効果は期待できない」「あまり信用できない」などのネガティブなイメージを持っている人の割合は、若年世代よりシニア層の方が高い。反対に「摂取することで、健康を維持できる」「摂取することで、病気の予防や改善ができる」「摂取することで、身体的な悩みが改善できる」などポジティブなイメージを持っている人は、59歳以下の若年世代の方が高い。

【健康食品のイメージ(男女計,%)
18〜39才 40〜59才 60〜74才
摂取することで、健康を維持できる 33.3 31.7 27.1
摂取することで、病気の予防や改善ができる 19.4 19.6 17.2
摂取することで、身体的な悩みが改善できる 13.7 11.3 7.2
効果は期待できない 19.7 24 29.7
あまり信用できない 18.7 22.4 24.4
なかには、品質(成分の含有量や吸収されやすさなど)にバラツキのある製品もある 11.8 16.5 20.2
健康食品は、よい影響を与えるものもあれば、
そうではないものもある
11.9 14.7 19.8
製品パッケージ以外の情報(メーカーや研究機関のウェブサイトなど)も、しっかり調べて選ぶ必要がある 5.3 7.1 10.4

資料:東京都福祉保健局「都民を対象とした『健康食品』の摂取に係る調査結果報告書,2016

理由2:サプリは継続が前提、価格がネックに

今の時代、60代以上で仕事をしている人は珍しくないが(※)、自分または夫は何歳まで生き、そして何歳まで働き続けられるのかわからない先行き不透明な中で、60代以上の消費は慎重だ。旅行や子・孫関連の消費など、自分や家族関連の単発的な消費は好意的にできても、効果があるのかないのか微妙にわからない不確かなサプリの消費に対しては、期待感を持ちつつも懐疑的。ましてやサプリは継続利用して意味があるもの。これを理解しているため「長期間継続できる価格かどうか?」は、消費を左右する重要な判断基準だ。実際に以下のように、価格面を指摘する声が上がっている調査:三和書籍「サプリメントについてご意見をお聞かせください」(※)2019年の男女就業率(内閣府「令和2年版高齢社会白書」)は、60〜64才(70.3%), 65〜69才(48.4%), 70〜74才(32.3%), 75才以上(10.3%)

・高価すぎる(60代女性)

・本当に体に効果があるのかは疑問ではあるが?ってかんじでとっている。年金受給者なので金銭面でやっていけれなくなれば一番に止めるかも(60代女性)
引用:三和書籍

理由3:60代以上は “時持ち世代”

60代以上は自分自身も夫も”時間持ち”。定年退職後に再就職したとしても、子育てが終わっているので現役世代と比べたら自分時間は格段に増える。子がいない場合でも、ゆとりある働き方ができるようになることで時間と心に余裕ができる。

つまり時間に余裕のある生活を送っているので、サプリに頼らなくても、栄養バランスを考えた料理に時間をかけたり、定期的な運動をすることで健康づくりができる。

60代以上では食事・運動・睡眠で健康づくりに励む人がもともと多いが、こういったナチュラルな方法で健康づくりができるこの世代の人にとって、サプリの必要性はそう高くはないのかもしれない。

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