2025年の高齢者市場は101兆円、それでも乗り込まない企業の理由(4/4)

高齢者市場へ乗り込まない企業の、共通した「乗り込まない理由」〜ウーマンズ裏話〜

当メディア運営元のウーマンズには、日々、様々な企業からのヘルスケアマーケティング支援の依頼・相談が持ち込まれる。その中で気づいたのは、高齢者市場に熱い視線を寄せている企業は実に多いものの、二の足を踏み、実際の行動(ターゲッット策定や商品開発)に移す企業はとても少ないということ。

高齢女性は“謎めいた存在”に見えてしまう

話をよくよく聞いてみると、高齢女性のニーズが未知な領域であることが最大のネックになっていると感じる。高齢女性に関するデータが他世代と比べると圧倒的に少ないため消費意識・消費行動を掴みきれないことや、高齢女性は自分のライフスタイルや消費基準が完全に確立されている上に、トレンドへのアンテナが低く新しいモノ・コトへの好奇心が弱くなっているといったことから、この世代の女性は企業にとって謎めいた存在なのだ。

社内の若い世代は高齢者市場に挑戦したい気持ちがあっても、これまで高齢女性をターゲットにしたビジネス経験が自社含め同業他社にもないという時代の中で仕事をしてきた上長世代の了承を得られず、結局実現に至らなかったという話は多い。部署で新たにチームを立ち上げたとしても、戦略を詰めきれず頓挫した、という相談も頻繁に持ち込まれる。

未だ高齢者市場はブルーオーシャン

結局単に高齢女性に対する理解不足・知識不足が、企業が高齢者市場に乗り込むのを阻んでいると感じるのだが、ウーマンズとしては、市場参入は各社が思うほど難解だとは思っていない。

もちろん、消費基準が確立されているこの世代の心を掴んでヒットを飛ばすのは簡単ではないが、「難解ではない」と断言できるのは、高齢化率は今後さらに上がっていくにも関わらず未だ高齢者市場はブルーオーシャンで、この年代の女性たちが本当に求めているものが今の世の中には驚くほど少ないからだ。

高齢女性のニーズ・不便は取り残されたまま

当社ウーマンズでは、ヘルスケア企業を情報とリサーチで支援するために、20〜100歳代女性のヘルスケアニーズやトレンドの研究を基礎業務として続けているが、その一作業である取材からも感じるのは、高齢女性のニーズ・不便があまりにも取り残されすぎているということだ。

若い世代(特に30代以下)に向けた商品・サービスは次々にローンチされ強豪ひしめきあっている一方で、高齢女性の市場はさほど大きな動きは見られない。もちろん、画期的な介護テックデバイスやヘルステックデバイスが登場し業界を賑わせることはあるが、高齢女性たちが求めているのは何も高度なテックデバイスだけではない。

もっと、日常生活の中にあるちょっとした不便・不満ごとの解決や利便性、楽しさを求めている。そもそも、高齢女性向け=高齢で病気があることを前提にした市場、という解釈の元、高度な商品開発に挑もうとする企業やベンチャーが多いことにも驚かされる。

「高齢女性=有病者」決めつけてないか?

本項でも紹介しているが、今の高齢女性は心も体も元気。“60代以上はおばぁちゃん”という考えは、もう昭和の話。今は、60代・70代も「女子会」と称し友人と集い、メイクやファッションを楽しむ。

子・孫世代と洋服や化粧品をシェアし、インスタに写真を投稿する方法を積極的に教わり、パソコンでワードやエクセルを使った資料を作ったりもする。スマホも使いこなす女性も結構いる。デジタルに詳しい女性はもちろん他年代と比べたら圧倒的に少ないが、ここで皆さんに言いたいのは、こんなにも時代は変わったということだ。そしてこうやって聞くと、さほど謎めいた存在ではないことにも気づくだろう。高齢者市場への参入は、思っているほど難解ではないのだ。

それでもまだ二の足を踏むのであれば、まずは、自分の身近にいる60代以上の女性(母親、叔母など親戚、友人、近所の人、趣味仲間など)に、企業・商品への不満や、生活の不便ごとなどについて聞いてみたらどうだろう。発見が多く、高齢者市場に乗り出す自信につながるはずだ。

 

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