ママ市場のマーケティング基礎知識・ニーズ・消費のツボ(3/5)

ママ市場のニーズ 消費のツボ

ママ市場で、押さえておきたい基本の消費のツボキーワードは以下8つ。

1.時短

時間短縮のこと。育児、家事、仕事に大忙しのママにとって、時短に貢献するモノ・コトは必須道具。反対に「時間を奪うモノ・コト(例:仕組み・理解が複雑な保険の契約、wifiの契約など)」は敬遠されがち。時短商品・サービスを対象にした「買っちゃえ!時間アワード(2019年発表,サンケイリビング新聞社)」の金賞を獲得したのは、「自動掃除機のルンバ」「簡単、無添加の茅乃舎だし(茅乃舎)」「マクドナルド」。いずれも時短に貢献している優れもの。

  • <時短貢献の商品・サービス例>
    ・家電:食洗機、ロボット掃除機、洗濯乾燥機、速乾ドライヤーなど
    ・料理:調理済み食品、宅配、ミールキット、カット野菜など
    ・代行:家事代行、ベビーシッターなど
    ・消費財:オールインワン、速乾シャンプー、ティント化粧品など
    など

2.コスパ

コストパフォーマンス(費用対効果)のこと。シングル女性やDINKs(子無し夫婦)と比較して、子のいるママは支出が多いため節約志向は他の女性クラスターよりも高く、「コスパが良いかどうか?」は重要な消費基準の一つ。時短につながる通販サイトでの買い物も「コスパが良い」と表現する。インターネット経由の各種サービスは、忙しいママたちの心強い味方。

  • <コスパが良い店舗・サービス例>
    ・100円ショップ
    ・業務スーパー
    ・ポイント還元率が高いドラッグストア
    ・フリマアプリ
    ・通販での買い物
    ・診療アプリ
    など

ワーキングマザーがネットショッピングを利用する理由は、第一に「利便性」だ。(略)2012年、15年ともに「家にいながら注文できるから」が1位である。買い物に行く時間の節約ができることが一番の魅力なのだろう。(引用:「女性市場攻略法(三菱総合研究所)」p.52)

3.一人時間

1人で過ごす時間のこと。「一人時間」ニーズは、専業主婦よりも働くママの方が強い。会社でも家庭でも常に時間に追われ、人に囲まれ、一人でゆっくり過ごす時間がほぼ皆無だからだ。

  • <ママが一人時間にしたいと思っていること>
    1位:ママ友とランチ(13人)
    2位:パパとデート(13人)
    3位:ママ友とディナー(8人)
    4位:美容院やネイルサロン(7人)
    5位:舞台観劇やコンサートなど(4人)
    6位:結婚式などイベント(3人)
    7位:習い事や趣味、買い物(2人)
    (引用:VERY11月号,2016)

ワーキングマザーの「ひとり時間の過ごし方」を見ると、そもそもひとり時間を獲得するのが難しいこと、獲得できたとしても短時間になりがちであることがわかる。そのため、外出してショッピングなどで発散というよりも、「録画がたまったドラマやDNDを見たい」「本を借りて読みたい」という意見が非常に多い。日頃多忙を極めるワーキングマザーだが、「ゆっくり寝たい」「ぼっとしたい」という意見は少ない。DVDや読書、園芸、自己啓発のための英会話など、自分のための生産的な時間を過ごしたいと考えているようだ。また、長時間のひとり時間のときは、美容院、エステ、ショッピングと、自分磨きに時間をかける傾向がある。(引用:「女性市場攻略法(三菱総合研究所)」p.144)

4.ギルトフリー

罪悪感を感じさせないモノ・コトを指す。女性は消費や生活のあらゆる場面で罪悪感を抱くため、消費促進にはいかに女性消費者の「罪悪感を払拭してあげるか?」がカギ。特に子どもを持つと、子どもには「安心安全な食べ物を食べさせたい」「(子どもの)カラダに塗布する化粧水やクリームはオーガニックのものが良い」などの志向が高まるため、「冷凍食品やチルド食品を食べさせるのは気がひける…」「忙しい毎日で寂しい思いをさせていないか?申し訳ない…」といった罪悪感をより強く抱くようになる。「ギルトフリー」は、低カロリーや低糖質などの食品を女性たちに訴求する言葉として使われているが、食以外のシーンでも登場する。

  • <ママが罪悪感を抱くタイミング例>
    ・食品添加物が多い食品の購入時
    ・「ママと別れるのが寂しい」と泣き叫ぶ子どもを保育園・幼稚園に預ける瞬間
    ・子どもを預けて自分だけ楽しい充実時間を過ごしているとき
    ・子どもの教育費など貯蓄しなくてはいけないのに、つい高額の化粧品を購入してしまった時
    など

5.家事シェア

夫と協力して家事に取り組むこと。夫婦共働きが一般的で、また、性別役割分担意識が現中高年世代より低い若い世代の間で特に家事シェアの概念が広がっている。家事や育児を夫婦平等に取り組む描き方をする企業の動画は高評価の傾向があるが、ワンオペ育児に代表されるような「妻側のみに負担がかかっている」描き方をする動画は批判を受けやすく、炎上した事例もある。

  • <家事シェアコンセプトの動画例>
    【ママの評価:高】
    毎月22日は夫婦一緒に料理をする日!と提案する「#シェアクッキング」キャンペーンでフォロワー数増加(キリン)
    【ママの評価:高】
    夫婦の家事分担を応援する「家事分担をJOBからJOYへプロジェクト」動画(以下掲載)。動画への共感率は妻86.4%・夫87.2%(P&G)
    【炎上】
    ママのワンオペ育児を連想させる動画を公開し、「あたかもママのワンオペ育児を推奨するかのような動画だ!」と炎上。炎上後、動画は削除された(ユニ・チャーム)

6.シェアコスメ

化粧品を他者とシェア(共有)すること。未婚カップルやDINKsの場合は男女間でシェアするが、ママに関しては子どもとのシェアが目立つ。お風呂に一緒に入ったり、一緒に寝たり、抱っこしたりと、子どもの肌と触れ合う機会が多いため、「子どもでも安心して使えるコスメ(ボディクリーム、化粧水など)」を求める。また、特に子どもがまだ小さい場合はシェアできるものを使った方が手っ取り早いという理由もある。例えばお風呂場では、子どものシャンプーに自分自身のシャンプーにとバタバタ大忙し。一気に自分と子どものシャンプーを済ませるには、使い分けずに一つのシャンプーを使うのが良策だ。子どもが高校生や大学生の場合、服やメイクアイテム、アクセサリー、バッグなど、より広範囲なシェアを楽しむ。

7.ホームパーティ

自宅に人を招き開催するパーティ。子どもが幼稚園や学校に行っている時間帯にママだけ集まってゆっくりお茶をするホームパーティと、子どもたちも参加するホームパーティと2種がある。ママにとってホームパーティとは、子どもに関する情報交換や悩み相談ができる大事な社交の場。

とは言っても、ホームパーティにお呼ばれされる側も主催する側もあれこれと悩みがち。SNSの広がりにより、他人のキラキラして充実した「ホームパーティ」や「食生活」を誰もがのぞけるようになった昨今、ママたちが食に求めるレベル(=食ライフのプロデュース力)が上がっているからだ。

  • <ホームパーティのママの悩み例>
    ・どんな服装で行くのが良い?あんばいが難しい
    ・どんな手土産を持っていけば良い?気合い入れすぎると相手に気を遣わせてしまうし、手を抜きすぎるとひかれちゃう…
    ・ママ友同士の“見えざるヒエラルキー”にうんざり…でも子どものことを考えると断るわけにもいかない
    ・どんなテーブルコーディネートにすれば良い?毎回悩む…
    など

8.子連れOK

店内が騒がしくなって他の客に迷惑をかけてしまうなどの理由から「子連れNG」とする店・サービスがある一方で、「子連れOK」としている店・サービスは、ママの支持率は当然高い。子どもをどこかに預け自分だけ出かけるとなると、預ける相手との時間の調整が事前に必要な上に、前述の通り自分だけ楽しんで子どもを置いていくことに「罪悪感」を抱いてしまうので、場合によっては、子どもを連れて行ける場所の方が、時間的にも心理的にも楽ちんに感じる。

9.ママのニーズを探るならこちら

ママの中でも、自分時間が最も短いのが「未就学児のワーママ」。当社でワーママの行動調査を実施したところ、時間の使い方、365日忙しい中取り組んでいる美容健康行動、出産したことにより変化した消費行動・健康行動などが明らかになった。こちらの調査結果をご覧いただくと、ワーママが求める商品・サービスが見えてくるので、ぜひ貴社のマーケティングにどうぞ!詳細は「【ヘルスケア行動日記調査】365日超多忙の働くママ、一体いつ&どんな健康・美容行動してる?」に掲載中。

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