ヘルスケア商品の市場動向をチェック 2018年上半期まとめ
ヘルスケア商品の市場動向、2018年上半期まとめ記事。ウーマンズラボ編集部視点で、特に注目したい商品をピックアップ。動向の把握、新規開発のヒントに。
ヘルステック
ヘルスケア分野の中でも急速に進化する「ヘルステック」。AI、IoT、ロボットによる医療・介護の質の向上、経営効率の向上、医療診断精度の向上など、最先端技術の貢献度は大きいが、多くは珍しさや新規性から話題にはなっても実際の生活の中にはなかなか浸透していかないのが現状。「(ヘルステックに関連する商品を)開発はしたが、市場の反応はイマイチで…」というメーカー側の声をちらほら耳にする。BtoBの現場ではヘルステックの活躍度は高いが、BtoCの現場ではIotブラジャーEVAのような簡便性の高さを重視しないと、現状浸透は難しい。特に女性を対象としている場合はなおさらだ。女性は「複雑な設計を嫌い、直観的に使える商品」を好むからだ。
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医療・介護・保険
「更年期や高齢妊活などを取り上げる中年女性向けメディア」「90歳でも入れる医療保険」「高齢者向けの家具ブランド」「介護職員や家族のための介護ハウツーを紹介する動画」など、医療・介護・保険の領域では、これまでに各社が目を向けてこなかった、あるいは見落としていた“空白の市場” に新たな商品が相次いで登場した。
他にもまだ空白の市場はある。「後期高齢者を対象とした普通のモノ・コト」だ。後期高齢者向け商品・サービスというと、「介護・医療サービス」ばかりだが、元気に暮らす後期高齢女性だって多い。しかし元気な彼女たちを対象としたエンターテイメント(映画やテレビ番組、施設など)、雑誌、美容サービス(ネイルサロン、エステサロンなど)、ファッション、イベントなどといった「普通のモノ・コト」は “ほぼ” 存在しない。今後長生き女性はさらに増えていく。「後期高齢者を対象とした普通のモノ・コト」の充実が求められる。
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食・運動・睡眠
食・運動・睡眠の領域では、15分フィットネスや高地空間トレーニングなどの時短フィットネスや睡眠特化型サロンの登場が目立った。睡眠市場においては「睡眠の質を上げるための商品・サービス」だけでなく、「睡眠時間を有効活用するための、ながらヘルスケア商品」も注目を集めた。忙しい現代の女性たちの心を掴むキーワードは「時間を奪わない」だ。
統合医療でトータルサポートする大型施設や、こころの健康をコンセプトにしたカフェがオープンするなど、これまでにさほど重視されてこなかったヘルスケア分野も活性化しつつある。
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美容
美容の領域では、個々の髪質に合わせたパーソナライズシャンプーや、個々の肌質にあわせたスキンケアを可能にするIoTスキンケアシステムなど「パーソナライズ化」が進んでいる。健康業界の方が美容業界よりもパーソナライ化やヘルステックが先行しているが、美容業界のパーソナライズ化やビューティテックの方が、女性消費者にすんなり受けいれられている印象がある。操作性や商品設計、言葉遣いなどの「分かりやすさ」という点において、美容業界の方が優れていることが挙げられるだろう。
ただ、デジタルマーケティングツールの「パーソナライズ化」とは異なり(例:個々の好みによって配信するメルマガ内容を変える、webに表示するポップアップを変えるなど)、商品そのものを「パーソナライズ化」するのは、コスト、流通量の調整、仕組み化などにおいて実現するのはハードルが高い。どのようにクリアして実現するか?は各社の課題だが、女性の消費傾向としては今後「パーソナライズ化」が購買基準の一つになっていくと予測される。
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その他
旅行・宿泊業界でも「健康」をテーマにした取り組みが増えているが、市場全体で見るとまだまだ少ない。「ヘルスツーリズムを探しているが提供している施設が少ない」と不満をこぼす女性は多い。シニア世代の旅行者が多いことも考慮すると、健康をテーマにした取り組みを強化するメリットは十分にあると言える。2020年に向けたホテル市場の過熱で各社が価格や設備で差別化を図っているが、「健康」を切り口にした差別化も戦力になるはずだ。