女性ヘルスケア業界、11個の課題(2/3)

【課題5】女性に多いメンタル疾患

うつ病は女性に多く、男性のうつ病患者数は49.5万人、女性は78.1万人です厚生労働省「患者調査平成29年」。男女別・年齢別にみると、男性は40代が最も多く、女性は40代および60代後半〜70代で多く見られます。うつ病有病率に女性が多い理由は「うつ病の男女比、なぜ女性に多い?」をご覧頂きたいのですが、女性のメンタル疾患ケアは女性のヘルスケア問題の中でも特に重視したい分野です。

【課題6】超高齢社会市場は分からないことだらけ

各国がこれまで経験したことがない超高齢社会における社会の在り方は、多くの国・人にとって分からないことだらけです。そのため世界でもいち早く超高齢社会を迎えた日本は、医療システムや各種政策、ヘルスケアビジネスにおいて世界からその動向に関心が寄せられています。とはいえ、超超高齢社会における各種問題に手探り状態なのは日本も同様で、超高齢社会市場には多くの課題があります。例えば「どのような『介護予防』がピンピンコロリに有効なのか?」「高齢ドライバーの免許返納後の“足”はどうするのか?」「ICT健康サービスの利用を促すにはどうすれば良いのか?」「“医療依存”を軽減するためには、高齢者に対してどのような意識改革や行動改革が必要で、どのような形で医療・福祉連携強化を図るのが望ましいか?」など多岐にわたります。超高齢社会市場は分からないことだらけではありますが、国や各企業から高齢者に関する調査データや研究報告が数多く公開されるようになってきました。現状をまずは把握し、高齢者のニーズや不安、不満を正しく把握することが課題解決の第一歩ではないでしょうか。

【課題7】「老後と死に方」に向き合う時代へ突入

これまでは「QOL(生活の質)」が注目されていましたが、ここ最近広がりだしている言葉に「QOD(死の質)」があります。多死社会を迎えた日本ではQOLと同様にQODに対する関心が急速に高まっていくと考えられます。「人生100年時代」という言葉が定着した今、若いうちから老後を真剣に考える人が増え、さらには「死に方」についても向き合う機会が増えてきました。人生100年時代におけるQOLが高い老後とは?質の高い死に方とは?今の時点で明確な解はありませんが、「長い老後と死の質を向上すること」は全ての人にとって課題です。

【課題8】誰もが病気になる可能性はあるのに、他人事?

「健康は失って初めて、その大切さに気づく」という言葉が身にしみるのは、自分自身が不調や罹患を経験したときです。私たちウーマンズは日頃から女性たちのヘルスケアデータの収集・分析を行っており、その中で頻繁に目にするのは女性たちの後悔の声です。「なぜもっと早く検診に行かなかったのか(乳がんで両胸を失った女性)」「なぜ仕事よりも治療を優先しなかったのか(腎臓疾患で透析になった女性)」「なぜ日頃から食生活に気を付けなかったのか(糖尿病の女性)」。今は健康でも、来月、来年、3年後も健康である保証はどこにもありません。誰もが病気になるリスクを持っているのに、健康だとつい「健康でいるための行動」は後回しになりがちです。健康なときから「健康であり続けるための努力」を個々が行う必要がありますが、なかなか難しいことでもあります。

医療・ヘルスケアの現場で最も難しいとされることの一つが「行動変容を促して、個々が健康行動・病気予防のための行動に自発的に取り組むようにすること」です。最近では行動変容を促すことに特化した商品やサービスが登場し、今後さらに増えていくことが期待されます。例えば女性に人気のダイエットアプリサービス「Lily」は、健康行動継続のポイントを「コミュニケーション」と「手軽さ」としています。

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